text連載「落ち穂」

2021.06.15『見えてくるもの』

私が今、東北で取り組んでいることはパズルのようだ。博士課程での研究のため注視しているものを片っ端から寄せ集め、並べてみると関連性やキーポイントが浮かび上がってくる。

長年見つめてきた沖縄の目に見えないもの(自然から派生するエネルギーのようなもの)と東北に根差す魂の源にもつながるような自然観。その違いと共通点。廃藩置県後、沖縄県最初の県令上杉茂憲が繋いだ沖縄と東北の思想、中村桂子が提唱する生命誌におけるアニミズム的観点。イギリスへの留学時にはじめて知ったアグネスマーティン、沖縄で知ったタカエズトシコ、その思想や影響を受けた自然観的思考。普段から興味を持っていたものへの理解や疑問であったものの答えがほのかに見えはじめ、もっと知りたいと思う側面が現れてくる。その海は深く、潜るための準備体操をしている段階だ。並行して日常的に気になるものを写真に撮り自分の無意識に引っかかるものを視覚化しキーワードになるものを調べ蓄積する。

沖縄、東北を通して自然観的思考を客観的に読み解くことで今まで続けてきた表現方法を自分なりに見つめ独自の視点を持った抽象的絵画表現を探究できたらと思う。

今年の夏はまだまだ移動しにくい日々が続いている中と予想されるのだが、共同企画展への参加と離島のホテル内アートショップでの展示を予定している。詳しくは今後ホームページに掲載していく予定なのでご確認いただき、無理のない範囲でご覧いただけたら幸いだ。忙しく過ぎていく日々であるが絵画やアートに触れる機会の中でご自身の感覚の海に漂う時間を過ごしていただけたらと思う。最後に今回の連載でお世話になった担当の方々と読んでいただいた方々にお礼をお伝えしたい。そして沖縄と沖縄で出会った人々への親しみや想いがこれからの歩みにおいて大きな基盤になっていることに強く気付かされた今回のこの機会に、深く感謝をしたい。

提供:琉球新報