text展覧会に寄せて

齋悠記個展「statment」に寄せて

齋悠記絵画展 「statement 」によせて

外は大雪で、まるでどこにいるのか分からなくなる。
冬は包まれる。雪は木々の黒さや空の青さに映え、まるでしんしんと音が聞こえそうに降り積もる日もある。春はぐんぐん芽吹いてあれもこれもと淡い緑が力強く、花たちも色と香りでその存在を伝えてくれる。夏はしっかり暑くて南国よりもうだる日もあり、滝に足を浸した。秋は落ち葉を踏みに山へ向かう。過ごしやすい透明感の中、呼吸をする。季節は日々の暮らしの軸となる。慌ただしさにぶんぶんと振り回されないようにその軸をこの手で掴もうとした。この場に身を置きポロポロと出来てきた絵は、深い深い大地のその奥に届いているだろうか?たかいたかいそらのその奥に届いているだろうか?手で掬うこの水の清らかさにとどいているだろうか。
日々日々の絵は自分を写すようだ。そのことと同時に絵はただそこにある。
みてくださる方の呼吸が少しゆっくりになるような絵が描けたら、こんな嬉しいことはない。